べっぺりあの人々が家族になりました、な現代パラレルです。
 父:ユーリ 母:ジュディス 長女:エステル 二女:リタ 長男:カロル
 近所のおっさん:レイヴン 近所のお兄さん:フレン 飼い犬:ラピード
 箱基準のため、パティは居ません。
 キャラ崩壊が凄まじいことになっています。お気を付けください。













 ほら、明日もいい天気。








幸せ家族のつくりかた








1 「ほんとうはもうげんかいです」








 その日、一家の長女であるエステルは、悩み始めて四日目に突入した。
 朝起きて、顔を洗って着替えて、キッチンへ行く。綺麗で料理上手、自慢の母が朝食の準備をしているので、それを手伝う。七時になったら長男を起こし、父を起こしに行くよう頼む。そうこうしているうちに二女が起きて、揃って「いただきます」。
 いつも通りの朝の風景だったのに、それが崩壊してしまった。


「おはようございます、お母さん」
「あら、おはようエステル。……どうしたの、そんな悲しそうな顔をして」


 母は今日もいつもと変わらず綺麗で、優しく笑ってくれる。そんな母を見てしまっては、何でもないです、と無理にでも笑うしか出来なかった。エプロンを着て母の隣に立ち、手を洗う。今日の朝ごはんは目玉焼き。味噌汁がまだ出来ていなかったので、鍋に水を入れて火にかけることから始めることにした。


「……あの、お母さん。……その……いつまで、このままです?」
「さあ、いつまでかしらねえ。今日までかも知れないし……ずーっとかも知れないし」
「そ、そんなっ」
「エステルは心配しないで。……ほら、火が強すぎてるわ」


 言われて、コンロの火が鍋から大きくはみ出ていたことに気付く。慌てて火力を弱めてからこっそり母の顔色を伺うが、冷蔵庫を開けて中を覗く母の表情はいつものように穏やかで、これ以上話を続けることは不可能だった。
 気付かれないように小さくため息をついたエステルは、味噌汁の具のわかめを水でもどしながら、今日の計画を練っていた。




 父と母が喧嘩した。
 何が原因で喧嘩を始めたのかさっぱり分からないのだが、いつもなら喧嘩しても半日経てばけろりとした顔でいつの間にか仲直りしているものだから、特に気にしたことはなかった。殴り合ったり蹴り合ったりとても物騒な喧嘩になることも多いのだが、『すっきりするから良いの』と母に微笑まれてしまうので何も言わない。
 けれど今回の喧嘩は、半日経っても、一日経っても、二日経っても仲直りの気配を見せない。
 どうせくだらないことで喧嘩して意地張ってんのよ――と妹は呆れ顔で言うのだが、エステルは心配で心配で、このまま二人のうちのどちらかが出て行ってしまったらどうしよう、と毎日悩んでいた。
 喧嘩をしている割に、母は父の弁当を毎日しっかり作るし、父もその弁当を綺麗に平らげて帰ってくる。本当は仲直りしたいけどその切っ掛けが出来ないんだよ、と弟も時間に任せるように言ってくれたが、時間はむなしく過ぎていくだけ。


(……悩んでばかりじゃ駄目です。ここは長女のわたしがしっかりしなきゃ。今日こそ、お父さんとお母さんを仲直りさせるんです!)


 エステルは決意を胸に、お玉を掴む。
 今日は土曜日。家族全員、休みの日。