星を蒔く女








 星が輝いていた。
 弱い光、強い光。
 その光の強さはまちまちであったが、どれも美しく輝いていた。


 オズワルド様、冷えてしまいますよ。


 妻が天蓋を手でのけてこちらへ歩いてくる。
 簡素な夜着にストールを肩にかけた格好で、夜の少し冷たい風に美しい髪を揺らして。


 ……、もう、戻る。グウェンドリンこそ冷えてしまう。直ぐに行くから、君は部屋に戻っていてくれ。


 言えば彼女は一度首を横に振る。頑なに拒むような動作ではなかったが、その凛々しい目つきとしっかりとした物言いは、有無を言わさぬ強い意志を示していた。


 いいえ。貴方の手はとうに冷えておられる筈ですので。


 隣に立ち、手を握られた。


 ……ああ、俺はあの星達に手が届かなくても良いんだ、と、ふっと思う。


 一番欲しい星は、すぐそこにあって、隣に近寄ってきてくれる。





帰り道、星があんまりにも綺麗だったので、即興夫婦。